日田市の4大祭りのひとつであり、夏の風物詩としても親しまれている「日田祇園祭」が、2023年7月22日(土)・23日(日)2日間にわたって行われます。
「日田祇園祭」は、疫病や風水害を払い安泰を祈念するお祭りとして、日田で約300年の伝統を誇っています。絢爛豪華な山鉾が祇園囃子の音色とともに隈・竹田地区、豆田地区の町並みの中を巡行します。また夜には、提灯を飾り付けた優雅な晩山の巡行で、祭りは一気に最高潮に達します。
【日田祇園山鉾集団顔見世】
日 時:2023年7月16日(日) 18:00~20:30(予定)
場 所:JR日田駅前
【日田祇園祭】
日 時:2023年7月22日(土)・23日(日)
場 所:豆田地区/隈・竹田地区
お問合せ:0973-22-8210(日田市観光課)・0973-22-2036(日田市観光協会)
※山鉾の運行については各町によって異なります。
■「日田祇園祭」について
【歴史】
四百余年前に、日隈城内にあった八坂神社が日隈城廃城のおりに現在の隈、寺町付近に移され(現八坂神社)、その後厄除け神事が行われるようになりました。寛文年間(1660年~1672年)頃にはすでに、杉の葉枝などを盛り、幕で飾った曳山があったらしく太鼓などで囃していたと長嶋家の古文書にあり、日田の経済が発展した正徳4年(1714年)には現在のような山鉾がすでに巡行し御神幸の形態も完成していました。文化文政期には、山鉾の高さも6丈(18m)に達し、時の代官が3丈の高さに規制した記録も残っています。明治32年、電灯線の設置により高さ5~6mの山鉾を巡行していましたが、平成8年に国の重要無形民俗文化財の指定を受け近年では、山鉾の高さも嵩上げが進み明治時代の10m級の山鉾も奉納されるようになりました。
【祭事の主な日程】
山鉾の巡行が行われる1週間前の日曜日午前0時に、「神輿洗い」を行います。神輿洗いは、町内に疫をもたらす神を荒神神輿に引き連れて、川で禊を行う神事です。続いて「流れ曳き」を行い、巡行の安全を確かめる。平成元年(1989年)よりこの流れ曳きを利用して、巡行本番の2日前に日田駅前において集団顔見世を行うようになりました。
【囃子】
囃子は、文化年間(1804年~1818年)に日田郡代の目明であった小山徳太郎が長崎で明笛を習得し、それを祇園囃子として使用したのが始まりであるといいます。篠笛を主旋律に、太鼓、小太鼓、三味線で構成され、当時の俗曲や端唄などを元にした30数曲目が演奏されます。中でも「役物」と呼ばれる巡行の区切りに演奏される曲は重厚で聴く人を魅了します。
【見送り幕・水引き幕】
山鉾の背面を飾る高さ3m幅1.5m程度の垂れ幕が「見送り幕」、山鉾の周囲を囲む幕が「水引幕」です。山鉾1基につき見送り幕と水引幕が対で付けられます。現在市内には18本の見送り幕が残されていて各山鉾町で大切に保管されています。見送り幕と水引幕は、ラシャ地に金や銀を溶かした金糸や銀糸を用い虎や龍などを刺繍した幕で、古いものは天保年間の物もあり現在も巡行に使用されています!
■ユネスコ無形文化遺産に登録!
「日田祇園の曳山行事」が全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する33団体とともに、
平成28年11月30日にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」として、
登録されました。
【スケジュール】
■7月初旬
・小屋入り:作業始めとして祭りに参加する全員で御神酒上げを行います。
・色あげ作業:解体された山鉾の館やはね出し等の色を塗り直し、金紙を切った欄干の金具を張り替えます。
・パイパイ染め:山鉾の高欄の両側に挿すパイパイは波しぶきを表していると言われており、このパイパイを天気の良い日に塗料で染めます。
■2週間前
・車揚げ:赤松の丸太を輪切りにした径二尺以上のあかたの部分で作られた山鉾の車輪は、普段池の水の中に沈められていますが、山鉾の組立前に池から引き揚げられます。
・山鉾組立(飾り付け):約2週間前には色揚げされた館や、引き上げられた車を組み立て、パイパイや手作りされた松ノ木、牡丹、あやめ、梅などを飾りつけます。花は町内のご婦人たちが作っている所が多いそう。
■1週間前
・神輿洗い神事:深夜に三隈川にて白木の神輿を洗い清めます。隈町及び竹田若宮町で1週間前の土曜日から日曜日にかけて行います。
・人形乗せ:1週間前の日曜日前後から各町内に振り分けられた華題の人形を、人形師の指示の元に山鉾に乗せます。
・山番:人形が乗せられた晩から、山の前で町内の若者たちが山鉾にいたずらをしないよう、夜警を始めます。
・流れ曳き:山鉾は3日間続けて曳くものではないとして、祭りの前に行います。山鉾のバランスや車の調子を見るための試運転だとされます。
・集団顔見世:流れ曳きの日、JR日田駅前に市内の山鉾が全て集合します。
■当日
・祇園祭典:(日田祇園祭)
朝9時頃から山鉾は動かされ、町内押しの後に各地域の神社に集合し納めます。いよいよ祭りが始まります。
■翌日
・山鉾崩し:祭りの翌日、以前は翌年の当番山(山元)に渡され、解体されて倉庫に納められていましたが、日田祇園山鉾会館に展示する隈・竹田地区の山鉾4本及び平成山は車を替えて新しいパイパイを挿し、繕われて展示されます。
・疫神払い:旧6月16日に当番山でない町内が行う祗園神事のことで、町の両端2ヶ所に縁台を出し、その四隅に青竹を立て、しめ縄を張り、祭壇を作ってお祓いをしていました。しかし現在では行われていないとのこと。
・藪入り;祭り翌日打ち上げを兼ねて慰労が行われ、一切の祭りの行事が終わります。